I’mpermanent
I’mpermanent

I’mpermanent 2018年11月1日 ~ 2019年1月27日
枯山水サラウンディングはサウンドスケープ・デザインを担当









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枯山水サラウンディングの結成当初から変わらない理念は、禅の作庭術である枯山水の技法である、砂、石、岩といった簡素な素材を用いながら、そこに庭園に欠かせない水の流れ等を想起させ、さらにはそこから、砂を大洋や潮流、岩を島や山に見立てる技法に倣って、音によってそこに実在しない世界を表現することであった。
カクテルパーティー効果(*)でもわかるように、人が受け取る情報の大部分は視覚情報である。ゆえに、一部の例をのぞいて枯山水サラウンディングは、可能な限り視覚情報を排除することによって、作曲家、そして音楽学者でもあるマリー・シェーファーの提唱したサウンドスケープの思想を、現代のテクノロジーによって、恣意的に現前させる手法に拘っていた。
しかし、今回はさらなる試みとして、あえて、日本の庭園様式である坪庭に見立てた作庭を試みることにした。しかし、それはあくまで、サウンドスケープを強調するために創意されたものである。前述したカクテルパーティー効果等によって遮断されてしまいがちなサウンドスケープをあえて強化し、さらには昇華させるという試みである。
作品名の”I’mpermarnent”は造語である。それは本来の”impermanent (無常)”と”I am permanent(私は恒久的な存在である)”という、二つの対極的でありながら微妙なズレを孕むことによってクラインの壺のように錯覚を誘引しながらも安定性を保つ。そして、この”I(私)”という一人称が何を示すのかは鑑賞者に委ねられている。
*カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、人間は音を処理して必要な音だけを再構築していると考えられる。

枯山水サラウンディング / Kare San Sui Surrounding

Guest Artists
Garden Plannner
塚田 有一 (有)温室代表 / Yuichi Tsukada
Artisan
板垣 洋 / Hiroshi Itagaki